私が素質研究会國貞幸司事務所の所長です!


by fillheart

なぜ素質が生まれながらに備わっているのか?

私が素質論を学び始めた頃、ある素朴な疑問を持っていました。
「人はなぜ生まれながらにして素質が違うのだろう」
その疑問を解消してくれたのは、働かないアリに意義があるという1冊の本でした。




この本は、アリやハチのような小さな社会を形成して暮らすムシについて、
人間社会と比較して面白おかしく解説をしてくれています。

■その中でも私が興味深いと感じたのが、「反応閾値」でした。
本では、反応閾値=仕事に対する腰の軽さの個体差と説明されていましたが、
同じ働きアリや働きバチでも、感じ方や行動を起こすタイミングに差があるのだそうです。

例えば、ミツバチ。
ミツバチは口に触れた液体にショ糖が含まれていると蜜を吸おうとしますが、
その液体に含まれているショ糖の割合基準がミツバチの個体によって差があるということなのです。

まるで人間の素質みたいじゃないですか!

■なぜ、このような反応閾値が存在するかというと問いに、ハチの例が紹介されていました。

ハチは巣の温度が上昇してくると、巣を冷やすために“羽ばたき”を始めるのですが、
その“羽ばたき”を始める温度に個体差があるのだそうです。
もし全てのハチが同じ温度で“羽ばたき”を始めるとすると、
基準となる温度までは何のアクションもとらず、
基準温度に達した瞬間に巣にいる全てのハチが一斉に“羽ばたき”を始めることになります。
しかし、感じ方に個体差があることによって、
温度が上がるにつれて、徐々に“羽ばたき”を始めるハチが増えていくことになり、
きめの細かい対応が巣全体としてできる仕組みになっているわけです。

そして、この個性によって仕事の役割がしっかりと分担され、
巣全体の仕事が総体的にまんべんなく回るように出来ているというわけです。

素質論を学び始めた私にとって目から鱗でした。

■しかも、この反応閾値が存在する背景には、“過労”があるのだそうです。

アリもハチも疲れたり、過労死することもあるんだとか。びっくりですね(笑)
みんなが疲れてしまうと社会に働き手がいなくなり続かなくなってしまうというわけです。
だから、仕事に対する反応の個体差を作ることで、
みんなが一気に疲れる状況を作らないようにしているんですねー。

人間社会も今こそアリやハチを見習うべきなのかもしれません。
勤勉さは日本人の美徳とするところですが、しっかり役割を分担して、
休息をしっかりとれる環境を整えることもまた重要な仕事なのかもしれませんね。
by fillheart | 2013-10-17 03:49 | 本レビュー